桜姫お堂
昔々、この土地に三池長者の一人娘、桜姫がいました。桜姫は誰もがうっとりと見とれるほどの美しさ。
桜姫には数々の縁談がありましたが、長者夫婦は桜姫のかわいさのあまり、どんな縁談も断ってきました。
ある日、桜姫の噂を聞いた宮中から断れない縁談の話がきました。
長者夫婦は、桜姫の出発の日が近づいたある日、古い言い伝えを思い出しました。
「ツナシという魚を焼くと死臭がする」ということを。
宮中から迎えがくる日に、大量のツナシを焼き、宮中からの使者に「昨日、娘は悪い病で亡くなり、今火葬をしているところです。」と伝え、使者を追い返しました。
桜姫はどこへもお嫁に行けず、仏門に入って生涯を終えたと伝えられています。
またツナシも、このしろ(子の代・子の身代わりの意)と呼ぶようになったということです。
桜姫の小さなお寺があったところが、現在の金井寺になります。
桜姫のお墓と伝わる小さなほこらが風雨にさらされて放置されていましたが、金井寺の本堂改築の際、訪れていた行者のもとへ桜姫の霊があらわれ「世に出て人びとのためにつくしたい」と告げたといいます。